仏説無量寿経(康僧鎧訳・魏訳)

☆魏訳というのは、魏の時代に訳されたという意味
☆釈尊出世本懐の経

真実の経(法の真実)−弘願門

王舎城の耆闍崛山において、ひときわ気高く尊い姿を現して説かれた。諸仏がこの世にお生まれになった目的は、苦悩の衆生に阿弥陀仏の本願を説いて救うためであると言われている。
上巻には、法蔵菩薩が発願し修行して阿弥陀仏となられたことが説かれる。「讃仏偈」には、師の世自在王仏を讃嘆し、続いて四十八願が説かれる。次に四十八願の要点を重ねて誓う「重誓偈」が説かれる。また願と行が成就して阿弥陀仏となられ、その仏徳と浄土の有様が現されている。=弥陀成仏の因果
下巻には、衆生は阿弥陀仏の名号を聞いて信じ喜び、念仏して往生が定まると述べ、さらに浄土に往生した聖者達の徳が説かれる。次に弥勒菩薩に対して人の世の悪を誡め、仏智を信じて浄土往生を願うべきと勧められ、最後に無上功徳の名号を受持せよと勧め、将来全ての教えが滅び尽きてもこの経だけは留めおかれ、人々を救い続けると説いて終わっている。=衆生往生の因果

【上巻】
●宿命通:
自己や他人の過去の有様を知る不思議な力

●天眼通:
人々の未来を予知する不思議な力

●天耳通:
世間一切の苦楽の言葉、遠近の一切の音を聞くことができる

●他心通:
他人の考えていることを知る不思議な力

●神足通:
欲する所に自由に現れることができる不思議な力

●清浄解脱三昧:
煩悩の汚れと束縛とを離れた精神統一の境地

●普等三昧:
諸仏を一時に平等に観ずることのできる精神統一の境地

●甘露:
不死の効能がある仙酒、霊薬。仏法の勝れた妙味を表す時のたとえとして用いられる。

【下巻】
●正定聚(成仏が決定しているものの仲間) −他力称名念仏−18願
邪定聚(悟ることのないものの仲間) −自力諸善万行−19願
不定聚(悟るとも悟らないとも決定していない仲間)−自力称名念仏−20願

●五痛(現世で受ける):
五悪をなすことによって大きな痛みを伴う苦しみ

●五焼(来世で受ける):
五悪をなすことによって大火で焼かれるような苦しみ

●五悪:
地獄・餓鬼・畜生の世界に沈む

●五善:
五悪をおこさない→浄土に生まれる

●五徳:
五善を修めて得た五つの功徳

●五種の智慧(無量寿仏):
@仏智 −如来の智慧
A不思議智−凡夫の思議の及ばない智慧
B不可称智−ほめ尽くせない智慧
C大乗広智−一切衆生を救う広大な智慧
D無等無倫最上勝智
−何者にも比べることのできない最上の智慧