第五章 如 来 論
(迷界・悟界いづれも真如より縁起したものである)
【二種法身(論註に説かれる)】
法性法身−真如法性
方便法身−阿弥陀如来(垂名示形・修因感果)
【三身三土】
法身(真如法性) −無始無終−法土
報身(阿弥陀如来)−有始無終−報土
応身(釈尊) −有始有終−応土
【阿弥陀】
アミタブハ−光明無量(空間的完全)
アミタユス−寿命無量(時間的完全)
【十二光】
@無量光−時間的完全の寿命無量
A無辺光−空間的完全の光明無量
B無碍光−どんなものにもさまたげられない徳を示す
C無対光−次生に受ける苦悩の因を滅す
D炎王光−今生に受ける苦悩の果を滅す
E清浄光−貪欲を滅す
F歓喜光−瞋恚を滅す
G智慧光−愚痴を滅す
H不断光−信心の者を護る
I難思光−煩悩を持ったまま往生せしめる
J無称光−往生即成仏
K超日月光−光明の働きを日や月の光に比較して、
その勝れたことを示す
【実相為物】
実相身−阿弥陀如来の自利の側面
為物身−阿弥陀如来の利他の側面
【十劫久遠(阿弥陀仏)】
久遠仏−無始の過去際より存する仏
十劫仏−修因感果の相を示して成仏した仏
【信仰の対象】
方便法身 ・ 報身 ・ 十劫仏
第六章 衆 生 論
【人間】
世間的立場(善人あり悪人あり)−道徳的
出世間的立場(すべて悪人) −宗教的
機(如来の救いの対象になる人間)
所被の機−世間的立場に於ける人間の考察
性得の機−出世間的立場 〃
受法の機−正定聚の機・真実の大信
「誠に知んぬ、悲しきかな愚禿鸞、愛欲の広海に
沈没し、名利の大山に迷惑して、定聚の数に入
ることを喜ばず、真証の証に近づくことを快こば
ず、耻ずべし傷むべし」(信巻)
「一切郡生海、無始よりこのかた、乃至今日今時
に至るまで、穢悪汚染にして清浄の心なく、虚仮
諂偽にして真実の心なし」(信巻)
宿善=宿世の善根・獲信のための因縁
【約時被機の論理】(道綽の末法思想)
「病人に白粥の論理」
赤飯と白粥を単なるカロリーで言えば、赤飯が価値が
高く、白粥は価値が低い。しかし胃腸の消化力の衰え
ている病人には、カロリーは低くても消化し易い白粥
こそ価値が高いのである。
第七章 行 信 論
【本願】
総願=諸仏が等しく発する四弘誓願
別願=諸仏が別々に発する願・弥陀の四十八願
|−教
第17願(諸仏称名の願)−|−行
真 第18願(至心信楽の願) −信
実 第11願(必至滅度の願) −証
五 第12願(光明無量の願)−|
願
|−真仏土
第13願(寿命無量の願)−|
【名号(名体不二・全徳施名)】
【善導の六字釈】
願行具足
「南無というは即ちこれ帰命なり、またこれ発願
廻向の義なり。阿弥陀仏というは 即ちこれ
その行なり。」
【宗祖の六字釈】
帰命 −本願招喚の勅命−能廻向の相
発願廻向 −能廻向の心
即是其行 −所廻向の行
【蓮如の六字釈】
たすけたまえとたのむ−南無(機) −|
−|−機法一体
かならずすくう −阿弥陀仏(法)−|
「たすけたまえ」とはおまかせすること。
南無阿弥陀仏の六字に、必ずたすけるという弥陀
の法も、南無とたのむ機も成就され て、凡夫に廻
向されている。
【信心(大信)】
至心信楽・欲生我国 − 三信− 信心
乃至十念
− 称名
至心の体は名号
信楽の体は至心 − 信楽一心におさまる
欲生の体は信楽
【三一問答】大経の三心と天親の一心
字訓釈−至心信楽欲生の三心は、文字の意味から
すれば三心共に「疑蓋無雑」のゆえに一心であると
いう論理。
法義釈−三心共に如来廻向の心であり、疑蓋無雑
の一心であることを明かす。三心共に如来廻向の
ものであるから衆生ではその廻向を領受する信心
(信楽)の一心である(機無・円成・廻施)。
【聞即信(聞くままが即ち信)】
聞とは言葉だけを理解することではなく、そこに
示されている如来の無限の慈悲の心に触れること。
【称名】
|−報恩行−衆生の称えごころ
称名−|
|−正定業−称えられるものがら
第八章 得 益 論
【往相・還相】
従因至果−往相廻向(如来廻向)−自利
従果降因−還相廻向(如来廻向)−利他
【現生十益】
@冥衆護持益−目に見えない神、菩薩のお護り
A至徳具足益−功徳具足の名号をいただいている益
B転悪成善益−名号の徳で悪を転じて善にする徳の
あること
C諸仏護念益−諸仏のお護り
D諸仏称讃益− 〃
E心光常護益−阿弥陀如来の光明のお護り
F心多歓喜益−信心の行者の心に動き、行為に現れ
る徳
G知恩報徳益− 〃
H常行大悲益− 〃
I入正定聚益−正定聚に入る益
現生に正定聚不退転Iの位に入るということは、阿弥陀
如来の摂取して捨てたまわぬ光明に照らされ護られてい
るEからであるが、それが単に阿弥陀如来だけではなく
諸仏にも護られCDており、諸天善神からも護られ@て
いる。しかもその信心は、一切の功徳を持つ名号を領受
したものAであり、悪を転じて善にする徳Bを持ったも
のであるから、心に喜びがおこりF、如来の御恩を知り
G、その喜びは報恩の行為Hとなって現れるのが現生
十益である。
第九章 方 便 論
【権仮方便】
真実に導くための方便。
「ウソも方便」ウソそのものを方便というのではなく、
ウソもある真実に導き入れるための方法だという
意味。
【善巧方便】
如来が衆生の性質・才能などに応じて、その人の救われ
る方法を考えて救う方法をいう。
【暫用還廃(ザンユウゲンパイ)】
しばらく用いて、後には捨てる
暫用−しばらく用いているところを権用
還廃−かえって廃し捨てるところを廃立
【六三法門】
第19願−要門−観経−福徳蔵−邪定聚−雙樹林下往生
第20願−真門 −小経−功徳蔵−不定聚−難思往生
第18願−弘願門−大経−福智蔵−正定聚−難思議往生